令和7年度から高校入試が変わる!!元中学校教員が考える高校入試制度改革。
- 2023.10.13
- ブログ
文責:講師 南
塾生の皆さん、保護者の皆様、こんにちは。
今日は岩手県教育委員会事務局より、令和7年度からの岩手県公立高校入試を大きく改革するという情報が入ってきました。令和7年度といえば、今年の入試が令和6年度ですので、現在の中2の世代から入試の仕組みが変わるということですね。これまでの入試から考えるとかなり大きな変更になります。今日はその辺りを解説しながら、皆さんと共有していきたいと思います。
まずは、Youtubeにアップされたこちらの動画をご視聴いただきたいと思います。
岩手県教育委員会事務局が作成した動画になります。動画の長さは11分程度です。少々長いし、堅苦しいかもしれませんが、改革内容の概要を説明してくれていますので、必見です!!。
この動画と、令和7年度高校入試実施要項(概要版)を参考にしながら、現行制度から新制度へ移行するにあたり、主な変更点を解説していきます。
入試制度改革の主旨は動画にある通りですが、今回の変更点を大きくまとめると以下のようになります。
- 高校入試の検査(試験)日程の変更
これまでの現行制度では、1月下旬の推薦入試と3月上旬の一般入試、3月下旬の二次募集の試験が行われています。つまり、試験自体は3回まで受けることができるわけです。推薦入試で不合格でも、一般入試で逆転合格、または二次募集で合格することができる制度になっています。
しかし、今回の改革では2月上旬に一次募集、3月上旬に二次募集という形で、単純に、試験を受けるチャンスが、推薦入試を受けることができないので1回減ることになります。
一次募集では「一般入学者選抜」と「特色入学者選抜」ということで試験日程が1回で済むようになっていることが大きな変更点です。
この背景には、従来型の「推薦入試」で合格した生徒も、入学後のクラス分けの参考にするために、一般入試の5教科の試験を同じ日程で受験するという仕組みになっていることが挙げられます。要は、「推薦だろうが、一般だろうが、結局は当日の5教科のテストを受けるのだから、面倒くさいから試験日程を一緒にしてしまえ」という事務方の声が透けて見える制度と言えなくもないですね。
- 推薦入試の実質的な廃止
今回の大きな改革の1つとして、「推薦入試」が「特色入試」と名称が変わります。それだけでなく、これまで必要だった中学校長の推薦が不要となり、また、部活動等での大会成績は出願要件とはなりません。つまり、少々勉強が苦手でも、部活動で上位大会に進出すれば、「推薦入試」として出願できたものが、「特色入試」ではその高校が求める生徒像に合わせて出願することとなっています。
例えば、受験する高校側が「テニスの実績がある生徒が欲しい」という明確な要望がなければ、これまでどの高校にもアピールできていたテニスの部活動成績が有利に働くことがなくなるということです。要望のある高校にしか、テニスの部活動の成績をアピールすることができず、結果、従来型の「推薦入試」に比べると、志望校の方針に合わせて出願することが条件になるため、自分の部活動成績などのアピールポイントが狭まり、結果、受験できる高校を選ぶのが難しくなるのではないかという懸念がある、と私は考えています。
これはどの部活動においても同じことで、表向きは自由な高校選択ができる仕組みと言えますが、裏を返せば、高校の提示する条件に合っている場合にのみ、部活動などの成績が評価されるということになりかねません。要望のある限られた高校の中からしか進路を選ぶことができなくなるのは、逆に高校選択の自由を奪っているのではないか、とさえ思えるのです。
もちろん、学力推薦の場合は、一概に高校の要求するレベルというものが変わることはないかもしれませんが、「内申点がこのくらいないと合格できない」といったことや、「評定の平均がこのくらい」、または「1つの教科で特筆すべき成績を修めていないと合格できない」などのケースも想定できます。私が実際に中学校の教員時代の経験では、内々に高校側から言われたことがあるのは「入試当日の試験で、数学30点以下の受験生は合格させない」というものもありました。
実はこれまでも推薦入試が廃止されたことがあります。各高校の推薦入試の基準が曖昧だったり、事務手続きにかかわる各校の先生方の負担軽減といった側面が強かったり。理由は様々ありましたが、各高校がもとめる生徒の争奪戦になる、自由な高校選択の主旨に合わないというのが大きな理由でした。しかし、結果的には推薦入試が復活しました。この裏には、「特筆すべき能力を持つ生徒はその才能をいかんなく発揮できる環境を整えるべき」といった声や、「推薦入試で合格できないと、合格できる高校がない生徒がいる」という実態もあったようです。
いずれにせよ、今回の改革では、部活動の成績を直接点数にはしないことや、あくまで部活動を通して生徒自身が学んだことや身に着けた資質能力を評価するということになるようですから、県大会、東北大会など上位大会に進出した実績への評価は相対的に下がるということになるのかもしれません。この点については、今後の県教育委員会の方針に注目していかなければなりません。
募集定員については、ほぼ現行の制度と変わりないですが、検査項目に目をやると、実技や口頭試問、プレゼンテーションなど、今までとは違う試験方法が並んでいます。これも志望する高校がどのような試験をデザインするかがいまだ不透明ですので、引き続き各高校の動向に注目です。
- 内申点の扱い
これは、コロナ禍において、面接試験が実施できなかったことが背景として挙げられます。これまで一般入試の面接試験は、かつては個人面接、近年は集団面接で試験していた現状が、コロナ禍で面接試験ができなくなったことで、一般入試の面接試験自体を事実上廃止し、各高校の任意の試験として扱う代わりに、中学校の成績に基づく「調査書点(内申点)」の比率がこれまで440点だったものが500点になるというものです。これに伴い、中学校の定期テストや提出物、日頃の努力がさらに求められるということになります。各学期の通知表(通信簿)に記載される「評定」は各教科の先生がつけますが、その評定を基に計算される内申点の割合が大きくなるということは、「より、平素の努力を評価しよう」という都合のいい解釈もできますが、実際には内申点の点数でシビアに合格・不合格が決まってしまいますから、塾生諸君の頑張りに期待したいところですし、我々講師陣も万全のサポートをしていくことは言うまでもありません。
さらに、選抜方法の欄を見ると、各学校によって、「入試当日の5教科のテスト500点」と「調査書点(内申点)500点」の評価の比率が「7:3」「6:4」「5:5」「4:6」「3:7」と学校・学科によって異なることが示されており、この比率は、おそらく受験する高校独自の裁量に任されている、つまり、各高校の校長や試験運営にかかわる校内組織で決定されると考えられます。各高校がどのような比率をとるかは、現状ではわかりません。どのような試験になったとしても、しっかりと合格をつかみ取るために、今から準備することがとても重要です。
終わりに
この件については、現在も県教委学校教育課で検討が進んでいる最中かと思われます。
今日の記事はとても分量が多く、読むのも大変ですし、理解が難しいところも多かったことでしょう。今後、この記事にかかわる動画を作成して、さらにわかりやすくかみ砕いた方法で皆さんにお届けできるように準備をしておきます。
重要なことは、これまでの入試制度と大きく変更される点があるということ、今後もどのような制度になるかがまだ不透明であるということ、これまでの入試制度から新しいスタイルの試験が導入されるということが挙げられます。
今後も新しい情報が入り次第、随時、皆さんと共有しながら、高校合格に向けて、一緒に頑張りましょう!!トップノートはあなたの合格をサポートする切り札になるかもしれません。次世代を担う生徒とともに成長する進学塾トップノートにご期待ください!!