国語の道
- 2023.02.19
- ブログ
文責:講師 南
塾生の皆さん、こんにちは
定期テスト、大学二次試験お疲れ様です。
今日は少し国語のお話をしてみようと思います。
小論文や作文の問題の際に役に立つかもしれません。
青森県の公立高校入試の問題を例題として考えてみたいと思います。青森県の入試では作文問題が出題されます。
秋田県でも同様の作文問題が出題されているようですから、岩手も他人事ではないですね。
その国語の条件作文の問題で、「言葉の本来の意味」に関わる出題がされていました。
中1、中2、そして小学生の皆さんも高校入試の問題について一緒に考えてみましょう!
問題はこうです。
6「資料から読み取れることを踏まえて、あなたの考えを書きなさい。」
資料はこちら
「にやける」と「煮詰まる」の意味についての年代別の認識についてですね。
資料1では「にやける」は「ニヤニヤしてしまう」という意味であると多くの人々が認識しているようですね。
資料2では「煮詰まる」という言葉は、年代別で見ると、若年層では「会議が行き詰まる」という意味、壮年層では「会議が成熟した」という意味で、認識が異なっているという事がわかります。
このように資料から読み取った情報をもとに自分の考えを記述する問題ですね。
「日本語の意味」についての出題です。皆さんは普段使っている言葉の本当の意味や使い方を知っているでしょうか?いくつか例を挙げてみますので、一緒に考えてみましょう!
- 「情けは人の為ならず」
→「その人の成長などを思うなら、情けをかけず厳しくしなくてはいけない。」
という意味だと思っていませんか?
しかし、ググってみると、本当の意味は、
→「人に情けをかけた分、めぐりめぐって自分が情けをかけてもらうことができるから、
たくさん情けをかけてあげよう」
という意味ですね。
このように、間違った意味の言葉や、本来の意味と異なる認識が広まっている言葉がたくさんあります。
- 「的を得ている」なの?「的を射ている」なの?
どちらもとても似ている表現ですが、正しいのは「的を射ている」です。
パソコンのワードなどで「的を得ている」と入力すると波線が表示され、間違いを指摘してくれます。
これは2種類の言葉が混同されている例です。
広辞苑で調べてみると、「的を得る」という言葉は、「ぴったりと要点をとらえる」という意味。
それに対して、「的を射る」は「物事の肝心な点を確実にとらえること」となっています。
正しいのは「的を射る」の方ですが、「的を得る」という言葉が派生して出来上がった感じですね。
確かに、実際に弓道などで弓矢を引いて「的を得て」も、その中心を「的を射て」当たらなければ意味がありませんね。
- 「願わくは」なの?「願わくば」なの?
これも難しい例ですね。
これもパソコンのワードに教えてもらいましょう。入力してみると、「願わくば」が間違いのようです。
しかし、これも文部科学省・文化庁の調査では「願わくば」の方が一般的に使われているという結果が出ています。これはきっと、悪の組織「ネガ・ワクバー」の仕業でしょうね。
- 「新しい」と「新たな」
皆さんは上の漢字、どのように読みますか?
「新しい」は「あたらしい」
「新たな」は「あらたな」
同じ漢字なのに、読み方が異なりますね。
これはどういうことなのでしょう?そして、どっちが本当の意味なのでしょう?
答えは、「新たな」です。
これは、「倒語」と言って、音の配置を逆にしたり、内容の逆を言ったりする、昔の言葉遊びです。
今でいうところの「業界用語」のようなものですね。
「寿司」のことを「シースー」と言ったり、銀座のことを「ザギン」と言ったり。
こうした言葉遊びが一般化していった結果、上のような例がたくさん出来上がりました。
例えば、「話のネタ」というのも「話の種」という言葉の倒語ですね。お寿司も一緒です。
または、「だらしない」も、もともとは「しだらない」という言葉です。「しだれ桜」の「しだれ」です。
イベントのチケットを転売する人を「ダフ屋」といいます。
これも「チケット=フダ」なので「フダ屋」を倒語にして「ダフ屋」なわけです。
「ドヤ街」も「宿街」の倒語。
また、「お蔵入り」も倒語のひとつです。
これはもともと「お楽入り」という言葉でした。
歌舞伎や相撲の最終日のことを「千秋楽」と呼びますね。
つまり、「お楽入り」とは「千秋楽に入った=もう、二度と見られない」という意味だったのです。
- 警察の「刑事」のことを「デカ」と呼ぶのはなぜ?
これも倒語の一種ですが、もともとはヤクザなど反社会的組織の中で使われていた「隠語」でもあります。
これは江戸時代に犯罪を取り締まった「おかっぴき」の人たちがそろって「角袖」と呼ばれる和服を着ていたことが語源になります。「十手をもって『御用だ!』」と言っている人たちが時代劇などに登場しますね。あの人たちが来ていた和服です。イメージとしてはシャーロック・ホームズの外套コートのようなものです。
諸説ありますが、この「角袖」を「かくそで」とひらがなにして「デカクソ」と憎しみを込めて呼んでいたことが語源となり、「クソ」が取れて、「デカ」となったわけです。家宅捜索などを意味する「ガサ入れ」という言葉も「捜す=サガス」をもじって、「ガサ」と呼んだわけです。
このように、日本語には様々な表現があるとともに、時代によって言葉が変化したり、さらに地方ごとに方言や訛りがあったりします。そのため、「世界で最も難しい言語」と呼ばれることも仕方がないですね。
英語では一人称は「I=私」だけですが、「僕、おれ、アタシ、ウチ、それがし、わたくし」などたくさんの表現があり、文字も平仮名、カタカナ、漢字を組み合わせる文章も外国人にとってはとても難しいことですよね。
そういう言葉について、少しだけ考えてみる機会になったと思います。
皆さんも、こうした知的なおしゃべりができるようになりましょう!
今日も元気に、能力無限!!